古文書や古記録といった古い文献は、過去の災害を研究し、
そして現在の防災や減災に役立てるための貴重な手掛かりです。
京都大学古地震研究会では、地震学や歴史学の研究者が協力して、
歴史災害史料を解読する活動を続けてきました。
こうした史料に書かれていることをもとに、過去にどのような災害が発生し、
どのような被害が生じたかを知ることは、将来の災害軽減に必ず役にたつと私達は考えています。
実際、史料に書かれた記録をもとに、
大地震発生の地域性や周期性に関する研究がすすんできました。
史料に書かれた文章を、活字に起こし、
データとして利用しやすくする作業を、歴史学の用語で「翻刻」と言います。
過去のひとびとは、膨大な記録を残してくれています。
しかし活字になってデータとして活用しやすい状態になっている史料はわずかです。
「みんなで翻刻」は、このような史料を翻刻するためのWebサイトです。
私達といっしょに、歴史災害史料を翻刻する活動に参加してみませんか?
『地震年代記』(東京大学地震研究所図書室所蔵)
現代人にとって、古文書の解読は非常に難しい作業です。
でも心配はご無用。
「みんなで翻刻」は、古文書の解読と翻刻を支援する
たくさんの機能をサポートします。
江戸時代以前に書かれた古文書を解読するには、
我々が現在使用している書体とは大きく異なる「くずし字」の解読能力が必要です。
くずし字学習支援アプリ「KuLA」は、2016年に大阪大学を中心に開発された、
くずし字解読の学習アプリケーションです。
歴史や古文書に関心のある人々を中心に、これまでに45,000回以上ダウンロードされています。
「みんなで翻刻」は、KuLAに収録された3,000枚以上の文字画像を収録しています。
テスト機能を利用して、学習進捗を確認しながらゲーム感覚で「くずし字」の解読を学べます。
現在私達が目標にしているのは、
東京大学地震研究所図書室が所蔵する災害史料のコレクション
「石本文庫」の全史料を翻刻(文字起こし)することです。
石本文庫は、地震研の二代目所長石本巳四雄(1893-1940)が遺した災害史料のコレクション。
現在は、東京大学地震研究所と東京大学附属図書室に収蔵されています。
一部資料はデジタル化され、インターネット上で閲覧することができます。
翻刻の進捗に合わせ、石本文庫以外からも順次史料を追加する予定です。
『信州浅間山焼』
東京大学地震研究所図書室所蔵
『諸国海辺地震津波書』
東京大学地震研究所図書室所蔵
『本朝地震記 全』
東京大学地震研究所図書室所蔵
『諸国地震年代記』
東京大学地震研究所図書室所蔵